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【成功事例あり】建設DXとは?中小企業の建築DX推進を大解説!

建設DXとは?中小企業の建築DX推進のメリットや中小の成功事例を解説!
将来的に仕事量の低下・人材不足が問題になると考えられているのが、建設業界です。とくに中小企業においては、自社が生き残っていけるかどうかは非常に深刻な課題ではないでしょうか。今のままのビジネスモデルでは生き残りが難しく、新たなビジネスモデルに着手していく時期がきたといえるでしょう。

そこで注目したいのが、建設DXです。建設DXについて、基礎知識や中小企業が建設DXに取り組むメリット、成功事例などを解説します。

建設業が今、新たなビジネスモデルに取り組むべき理由とは?

建設業で今、新たなビジネスモデルに取り組むべきだと言われるのはなぜでしょうか。

将来的に建設需要が低下する可能性

東京オリンピック特需の恩恵を受けたここ数年、建設工事は需要を拡大していました。ところがオリンピック開催年の2年から3年前に建設投資額のピークを迎え、オリンピック終了後は需要低下に陥っていく傾向にあることがわかっています。

オリンピック以外にも2027年のリニア新幹線開業といった大きなプロジェクトが控えてはいるものの、実際に日本において建設市場は縮小傾向にあります。さらに中小企業においては、大規模プロジェクトは大手建設会社の下請けで参入するため利益率は低く設定されるのです。

中小企業が経営を安定化させるには、大規模プロジェクトの下請け以外にも収入の新たな柱を創出することが重要だと言えるでしょう。

習熟技術者の高齢化

日本の建設業界を語る上で、高い技術力を誇る技術者・職人の存在は切っても切れません。ところが近年では高齢化が進み、さらに熟練の技術者たちが活躍できる現場も減少傾向にあるのです。

技術内容が属人的になりやすい建設業では、熟練の技術を伝達していけないと会社としての成長も止まってしまうことになります。今後は属人的でなく、マニュアル化して確実に多くの従業員へ技術を伝えられるビジネスモデルの構築が必須でしょう。

人材・労働者不足

建設業界は、1997年頃をピークに就業者数が年々減少しています。とくに深刻なのは若年層の労働力であり、将来的に労働者不足・後継者不足に陥る企業が増加することは目に見えています。

その原因としては少子化だけでなく、建設業に対するイメージが「3K(汚い・きつい・危険)」で定着してしまっていることも大きいでしょう。他業種においては働き方改革に成功する中で、旧態依然の3K・長時間労働のイメージを払しょくできるかどうかが、建設業界の人材・労働者不足解消のカギとなるはずです。

建設業の新たなビジネスモデルの事例とは?

建設業が取り組むべき新たなビジネスモデルは、具体的にどのようなものが考えられるのでしょうか。

DXによるデジタル化

次の章で詳しく解説しますが、「DX」はAIなどのデジタル技術を活用することで、業務を効率化したりビジネスモデルを変革したりすることを指します。多くの業種や企業で注目を集めているDXですが、単純作業や肉体労働、危険が伴う建設業においてとくに効果が期待できるのです。

事業投資

IT分野が急成長していることからも、先進技術を持っている企業への事業投資が盛んになっています。たとえば3DプリンターやAIの技術がある企業に大手ゼネコンが投資をし、建設現場に3DプリンターやAIを取り入れ効率化していくことが考えられます。

会社の規模に関係なく、将来性のある技術や事業に対して投資をしておくことが新たなビジネスモデルとなっていくことでしょう。

農業分野へ参入

建物の設計や建築がメインとなる建設業界ですが、実は以前から農業とのかかわりが深いことはご存知でしょうか。建築業と農業はどちらも天候に左右され、年間を通して安定した収入を確保できないため、建設業者は農業を兼業していることが多いのです。

そのため、自社で広大な農地を建設して農業を始めるなど、農業の分野へ参入して両方の分野を拡大していくことが考えられます。

機械教習所の開講

現場作業におけるスキルや知識を学び、専門資格の取得が可能な教習所はすでにありますが、中には珍しい資格もあり学ぶ機会や場所のない場合があります。そのようなニッチな資格が取得できる教習所を開講することで収益化に成功しているケースが存在しています。

建設DXとは?詳しく解説!

ここからは、「建設DX」について基礎から詳しく解説していきます。

DXとは?建設DXとは?

「DX」とは「デジタルトランスフォーメーション」の略です。2004年にスウェーデンにあるウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された「IT技術の浸透が人々の生活をより良いものに変える」という概念です。日本においては経済産業省がDXの推進役となっています。

DXによって単にサービス・製品をより便利なものにするだけでなく、業務自体、または組織・プロセス、そして文化まで変革することを想定しています。つまり、デジタル化によって業務の一部を効率良くするだけでなく、仕事のやり方そのものを変革して課題解決に繋げていくのがDXだと言えるのです。

建設DXとは、建設業界においてデジタル技術を取り入れ複合的に活用し、業務のやり方そのものを変革させ現在建設業界の抱える諸問題を解決していくプロセスです。

建設DXの現状とは?

建設業界においてもDX化への関心は大いに高まっているものの、とくに中小企業でなかなか進まないのが現状です。もともとアナログな業務が大部分であること、経験がものをいう業務が多いことから、他業種に比べてDXが進まない建設業界の中で、とくに中小企業でDX化が進まないのはなぜでしょうか。

1つ目に、DXへの知識不足が挙げられます。「中小企業のDX推進に関するアンケート」の結果によると、DXについて「理解している」または「ある程度理解している」と回答した中小企業は約4割にとどまっているのです。約6割の中小企業は、DXについて知識がない、または「大企業の話」だと自社には関係ないと考えている中小企業の経営者も多いのが実態です。

さらにDX化を推進するための人材、デジタル機器やインターネット設備アップデートの資金が不足しているため、DX化したくても進められない現状もあります。

建設DXで解決すべき現状とは?

建設DXを推進することで解決すべき現状は、次のようなものが挙げられます。

非効率な業務

建設業界は全体的にアナログ業務にあふれ、業務効率化が進まない状況にあります。連絡を取るにも電話やファックスがメインで、ほとんどの情報が紙媒体で管理されるのが当たり前のように続けられているというわけです。

このやり方を変えようにも、現場を指揮する立場にあるのが従来までのやり方を変えたくない・デジタル化への抵抗感が強い、経験豊富な年配の労働者であることも多いのです。そのため、今でもアナログな方法が主流のままなのでしょう。

深刻な人手不足

少子化によって労働者が全体的に減少し続けているのに加え、建設業界はさらに深刻な人手不足に陥っていることが分かっています。たとえば専門性が高い「大工」は、20代が占める割合は全体の約10%にとどまっており、50代以降のベテラン大工が中心になっている現状がうかがえるのです。

建設業界においてとくに人手不足が深刻な理由としては、3k(きつい・汚い・危険)の代表格というイメージの強さが挙げられます。

現実問題、他の業種に比べて暑さや寒さに耐えたり危険な現場で働いたりする過酷な仕事だと言えるでしょう。収入も天候に左右される日給制であることが多く、収入が安定しない面も実際にあるのです。さらにリーマンショックによって多くの職人や現場監督が離職してしまったことも、建設業界に大きな打撃を与えました。

ノウハウ継承の遅れ

アナログ業務が多い建設業において、ノウハウのマニュアル化は進んでおらず職人の感覚頼みに作業を進めている現状があります。さらに人手不足が深刻化しているために、若年層へノウハウを継承する暇もなく現場作業で手一杯になっているのです。これでは生産性がいつまでも上がらず、技術力も低下していってしまうことが考えられます。

現場作業の危険

死亡災害こそ減少しているものの、転落・墜落事故は依然として起こっているのが建設業の現場です。どんなに細心の注意を払ったとしても事故をゼロにすることは難しく、改善が課題となっています。

建設DXで用いられるデジタル技術とは?

建設DXで用いられるデジタル技術には、次のようなものが挙げられます。

BIM/CIM

構造物を立体画像で表示できるデジタル技術が「BIM/CIM(ビム/シム)」です。平面画像では完成時の予想がつかず「建ててみないと分からない」面が大きく、顧客との理解度に差が出てしまっています。建築についての知識がない顧客も視覚的に理解を深められ、意思決定を迅速にできて今まで以上にコミュニケーションに費やす時間を短縮できるのが、BIM/CIMの大きなメリットでしょう。

クラウドサービス

雲(クラウド)の上にサーバーを置いたように利用できるサービスが「クラウドサービス」です。インターネット上の仮想サーバーなどのリソースが利用できるもので、通常パソコン本体や会社のサーバーに保存されるデータやソフトウェアをクラウドに保存すれば、どこに居ても確認が可能になるのです。

たとえば建設現場と本社がリアルタイムで工事の進捗状況を共有したり、指示を受けたりできるようになります。

5G(第5世代移動通信システム)

次世代移動通信規格である「5G」に移行することで、4Gと比較して大きな要領の通信が超高速でできたり、多数の機器に対して同時に接続できたりといったメリットが享受できます。

AI

「人工知能」を意味するAIは、学習していけるコンピューターのことを指します。人間対AIの将棋勝負などのニュースで耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。AIによって膨大なデータを迅速に処理できるようになり、短時間で最適な答えを導き出せるようになったのです。

そんなAIは、建設DXでも期待されています。たとえば建物の構造計算をAIに任せれば、耐震性など安全性の高いモデルを提示することで建築士の手助けができるようになることでしょう。

ICT(情報通信技術)

ICT(情報通信技術)とは、情報を処理するだけでなく、インターネットをはじめとした通信技術を利用したサービス・産業などの総称です。通信技術を活用したコミュニケーションは、建設業界ではドローンなどの機器を遠隔操作する技術にも活用されています。この技術で危険な場所も3次元測量データ化ができるようになっています。

IoT (Internet of Things)

通信技術を搭載させた「モノ」でデータを収集してさまざまな用途に活用する技術が、IoT (Internet of Things)です。かつてインターネットは有線の必要があったものの、現在ではスマホやタブレットなどのモバイル端末でどこにいてもインターネット接続が可能になっています。さらに、自動車や家電、工場設備や建設機器といった「モノ」にインターネットを接続する技術が注目を集めているのです。

建設現場に活用すれば、危険なエリアを遠隔で監視したり、離れた場所から機器を操作したりすれば、労働災害の防止につながることでしょう。また、IoTで収集したデータをAIで分析・解析することで、作業・技術の標準化や可視化が可能になって技術継承にも役立ちます。

建設DXを導入するメリットとは?

建設DXを導入していくことで得られる3つのメリットを紹介していきます。

業務効率化による人手不足の解消

DX化によって業務の効率化が図れ、そのことが人手不足の解消につながることは建設業界においても大きなメリットだと言えます。建設生産プロセスにITを導入し建設の設計から維持管理までの全工程をデータ化したとします。すると、情報共有が簡単にできるようになり意思決定のスピードが上がり、作業効率もアップするのです。

また、紙ベースだった情報をデータ化すれば、電話やFAXと比較して各段に業務効率はアップするはずです。施工状況の確認や監督業務が遠隔でできるようになれば、移動時間・拘束時間の短縮となり、労働環境が改善していくことでしょう。

ノウハウの継承

人手不足によって、熟練の技術を継承していく時間の取れない状況が続いている問題も、AIを活用することで解消することが可能になります。収集・蓄積した現場作業のデータをAIで分析すればマニュアル化・可視化が可能になり、経験の浅い労働者も質を保った作業が行えるようになることでしょう。

労働災害の防止

自動化システムやロボット、AIなどを活用して現場作業の省人化を推進していけば、現場での労働災害を減らしていくことが可能になります。危険なイメージを払拭できれば、新規入職者の増加にも一役買うことが見込めます。

中小企業のDX化の進め方とは?

中小企業において、建設DX化を進めていくには次のようなステップがおすすめです。

意思決定

単にDX化すればいいのではなく、将来どのような企業を目指していくのかという経営ビジョンを見据えた上で、その目標に近づく手段としてDX化を推進していくことが大切です。

意識改革

会社としての方向性が決定したら、全社員の意識改革を行います。会社をあげてDX化に取り組むのに、中小企業は実はやりやすいと言えます。

推進

DX化を推進していくためには、担当者を明確にすることが大切です。時には、外部のコンサルティングなどの登用も考えるといいでしょう。

拡大

DX化は、一度行って終わりではありません。継続して行いつつ、社会の変化に応じて変容させていく必要があります。意思決定から始まるサイクルを適宜行っていくといいでしょう。

中小企業の建設DXの成功例を紹介!

最後に、建設DXによって成果を得られた中小企業の成功例を紹介します。

海外現場を360度カメラで観察

クラウドサービス「RICOH360 Project」を使って海外の建設現場を360度カメラで撮影し状況の把握や共有を行っているのが、清水建設株式会社です。

導入前は日本からの指示を受けて動画のリアルタイム配信を行っていましたが、準備に時間を擁していて現地スタッフの負担の大きさが問題でした。そこで導入した360度カメラは、死角がないので意図しない部分までカバーでき、後で見返すことも可能になったため、品質の向上や現地の準備に要する時間の大幅な短縮につなげることに成功しました。

施工状況をDX化で共有

工業塗装会社である茨城県のヒバラコーポレーションでは、スキャナーやプリンターを導入することで今まで手書きだった伝票などのデジタル化に着手しました。その後も、技術のデータ化や生産管理のIT化によって、熟練の職人の技術を数値化し、若手技能者が再現することにも成功しています。

あらゆるデータを可視化することで、コストダウンや誤発注の防止、時間の短縮にもつながりました。

まとめ

さまざまな課題を抱える建設業界ではありますが、その解決の糸口となるのが建設DXです。とくにまだアナログ文化が根強い中小企業こそ、DX化による成果も大きいと言えるでしょう。

莫大な費用がかかるものでなくても、パソコンやタブレット、Wi-Fiなどの基本的なデジタル化から始めていくのもおすすめです。簡単に使える施工管理アプリも多く登場しています。できることからDX化に舵を取っていくのが大きな成功の一歩となることでしょう。

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