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【2024年目前!】住宅業界の今後は?厳しいといわれる理由について解説!

「住宅業界の今後は厳しい」このような話を耳にしたことがあるかもしれません。実際新築物件の販売戸数は、今後右肩下がりになるという予測がさまざま出てきています。

なぜ住宅業界が今後厳しいといわれているのでしょうか。今回はその理由と課題を克服するための対処法についてみていきます。

住宅業界が厳しいといわれる理由を紹介

住宅業界が厳しいといわれるのにはいくつか理由があります。消費者マインドと建築業界の事情など、さまざまな要因が複合的に関係しているのです。そして長期的な低迷が続くのではないかとみられています。

新築志向の減退

日本では「新築信仰」とも呼ばれるような「マイホームを購入するなら、新築!」というマインドが伝統的に強かったといわれていました。

しかしマイホームは購入したいけれども、かならずしも新築でなければならないという意識が低下してきています。2018年には22%の方が中古住宅を購入しています。1994年時点では13%だったので、中古住宅購入意欲はかなり高まってきている状況です。

新築信仰が薄れてきたのは、さまざまな要因が考えられます。まず新築物件の価格が全般的に高騰しています。一般庶民が購入するのは難しく、その代わりに中古を購入しようというわけです。また空き家問題に代表されるように、家余りの状況が広がっています。そこで「わざわざ新築を購入しなくても」という意識に変わりつつあります。

さらに政府をあげて中古物件の購入を推奨したことも、中古物件への購入意欲の高まりを反映した要因のひとつです。なお今後もその傾向は維持され、2040年の試算では全体の33%が、中古住宅を購入するとみられています。マイホーム購入希望者の3人に1人です。

人手不足問題

建築業界も課題を抱えています。それは人手不足問題です。国土交通省のデータによると、建設業に従事している人の数は、1992年の619万人をピークに右肩下がりになり続けています。しかも日本は高齢化社会が進んでいます。建設業界も同様です。2016年時点で建設業従事者の3割が高齢者といわれています。

そうすると今後高齢者が大量に離職する恐れがあるわけです。結果的に人手不足の状況は、ますます深刻になるかもしれません。

時間外労働の規制

建設業界の人手不足に拍車をかけるとみられているのが、時間外労働の上限が設けられる点です。これまで法的な規制は特別なく、青天井で残業の行える状況でした。これが2024年4月より、時間外労働できる時間数に上限が設けられました。

おおよそ1日当たりの残業時間は、2時間以内に抑えなければならなくなったのです。もし上限を超えて労働者を働かせた場合、雇用主は6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金に処せられてしまいます。長時間稼働できなくなる分、建物を建設するペースも低下する恐れが出てきています。

インボイス制度の導入

2023年10月より、インボイス制度が導入されたことはメディアの報道で耳にしたことがあるかもしれません。インボイス制度の導入によって、人手不足の状況がむしろ悪化するのではないかと懸念されています。とくに大きなデメリットを被る恐れがあるといわれているのが、いわゆる「一人親方」です。

課税事業者になった場合、消費税率分の所得を失う恐れが出てきています。一方免税事業者になったとしても、取引先から課税事業者でないことを理由に取引が打ち切られるかもしれません。いずれにせよインボイスへの対応が求められます。高齢の大工さんの中には、インボイス制度に合わせてまで現役を続けたくないとなって、引退してしまうかもしれません。その結果建設業界の人口が大きく目減りする恐れも指摘されています。

資材不足の恐れ

現在世界的に、建設業界を見渡してみると「ウッドショック」と呼ばれる現象が起きています。アメリカを中心に住宅の建設ラッシュが進んでいて、木材の需要の上昇していることが背景です。コロナ禍の影響で、ステイホームが求められたことも影響しています。

その結果日本は海外との資材の競争で下位負けしてしまいました。価格上昇で資材の調達が難しくなった、供給そのものが制約を受けることでウッドショックが起きたのです。

さらにコロナ禍でロックダウンが起こり、建材や設備工場の稼働がストップしたこともありました。その結果、現在でも資材が全体的に不足しています。この傾向は2024年も続くと予想されています。

終わらないコロナ禍

ワクチンの接種率の上昇で、コロナもかなり収束した印象があるでしょう。コロナ以前の生活に戻りつつあります。しかしオミクロン株が発生するなど、まだ完全にコロナの脅威がなくなったとはいいがたい状況です。

またコロナが落ち着いたら、今度はインフルエンザの流行が問題になっています。このような将来への不安感から、人生で最も高い買い物といわれるマイホーム購入も買い控えが起きています。

実際に新設住宅着工数は減少している

2021年の新設住宅着工数は約86万戸でした。これが野村総合研空所によると、2030年度には70万戸、2040年度になると49万戸にまで減少するとみられています。少子化が進んでいることで人口や世帯数は、今後減少することが大きな要因です。これから20年後には新築物件の建設数が、4割近くも落ち込むことになります。住宅業界は今後厳しいといわれても致し方ありません。

明るい材料がなかなかみられない住宅業界

現状でもうえで紹介した要因により、住宅業界はかなり厳しい状況が続きます。しかし将来をみても、明るい材料がみられないのも厳しいと指摘される主な根拠のひとつです。

住宅ローンの金利が上昇する?

マイホームを購入するにあたって、住宅ローンを組もうと思っている人も多いでしょう。住宅ローンを組むにあたってポイントになるのが、金利です。金利はその時々の市場金利をベースに設定されます。しかし今後住宅ローンの金利は、上昇局面に入るのではないかとみられています。

日本の国債の長期金利は徐々に上昇しつつある状況です。さらに海外との金利差が大きくなっていて、円安が進みつつあります。この状況を打破するために、日銀も近い将来市場金利を引き上げる可能性も出てきています。住宅ローンの金利が上がればそれだけ返済負担が大きくなり、買い控えが起きるというわけです。

電気代高騰

電気料金が高騰していて、同じように電気を使っているのに去年よりもかなり電気代が上昇した家庭も多いでしょう。日本は2011年に発生した東日本大震災に伴う福島原発の事故によって、原子力発電が利用しにくい状況になりました。

2011年以降、日本のエネルギー事情は火力発電にかなり頼っている状況です。火力発電には燃料として石炭や天然ガスは必要ですが、これらの燃料は海外の輸入に依存しています。ところがロシアによるウクライナ侵攻などによって、燃料価格が世界的に高騰しています。結果的に私たちの家計にその影響が出てきているわけです。電気代の値上がりで、家計のやりくりが厳しくなっている世帯も多いでしょう。そうなるとマイホーム購入どころではないともいえます。

暗い材料しかない?住宅業界の希望の光は?

住宅業界はここまで紹介したように、少し厳しい状況になりつつあるといわれています。それではすべての面でチャンスがないかというと、決してそうではありません。以下で紹介する分野は、今後も成長が期待できるといわれています。住宅業界で今後生き残りを図りたければ、以下のジャンルに目を向けてみるべきです。

リフォーム市場

リフォーム市場は今後も拡大傾向が続くとみられています。2022年段階で7.3兆円程度の規模です。しかし2040年までに8.1兆円規模にまで、マーケットは拡大するだろうと見込まれています。これまで日本ではスクラップ・アンド・ビルドといって、古い建物は壊して新しい建物を作るのが一般的でした。

しかしカーボンニュートラルをはじめ、地球環境への配慮が日本でも重視されつつあります。既存の住宅を壊すのではなく、リフォームしてできるだけ長く活用した方が、環境に優しいと考えられるようになりました。このような背景から、リフォーム市場は当面好調な状況を維持するとみられています。

とくに注目されているのが、介護関係のリフォームです。日本では今後ますます高齢化社会が進むとみられています。そこでバリアフリーリフォームを進め、お年寄りに優しい住まいに変化させるリフォームが注目されているわけです。バリアフリーにすることで将来要介護状態になった、家族の面倒もみやすくなります。

さらに2世帯住宅や3世帯住宅へのリフォームを希望する世帯も増えてくるでしょう。このような背景もあって、リフォームに対する需要は高止まりするとみられているわけです。

省エネ住宅

こちらも環境対策の一環として、省エネ住宅の需要は高まりつつあります。省エネ住宅の中でも今後キーワードになりそうなのが「ZEH」です。ZEHとは生成エネルギー量とエネルギー消費量をプラスマイナスゼロにするアプローチです。エネルギー生成は、太陽光発電などによって作り出します。

国でも2030年までに新築の平均でZEHを目指すと明確にしているので、需要は底堅いとみられています。ZEH基準に適合させるためには高断熱素材や省エネ設備の導入が必要です。そのためにはどうしても費用がかさんでしまうのは課題です。コスパに見合った新素材の開発などが求められるでしょう。住宅業界としては、いち早く新技術を取り入れ、お客様に満足してもらえるかという点が重要になってきます。

空き家問題

日本の住宅事情の中でも当面の課題とされているのが、空き家問題です。空き家はかなりのペースで増加していて、総務省の発表したデータによると平成25年で空き家は、約820万戸でした。おおよそ20年間で2.1倍のペースで増加しているといいます。

空き家の活用法を提案できる工務店になれば、今後も安定した需要が期待できるでしょう。そのためにはマーケティングを行い、地域住民がどのようなスペースを求めているのかリサーチしましょう。事情に見合った提案ができる体制を整備しなければなりません。

空き家を別の用途で貸し出すのも一考です。たとえば空き家をリノベーションして、コワーキングスペースとして貸し出すのもひとつの方法です。コロナ禍の影響で、テレワークやリモートワークが普及しました。このようにオフィス以外で働ける環境づくりを進めれば、利用者も増えるかもしれません。

空き家対策は自治体も真剣に取り組んでいて、補助金を出してくれるところもみられます。補助金制度をうまく活用すれば、低コストでリフォームも可能になるかもしれません。お客様の負担を減らし、より良い他県をしてもらえる提案を行うことで、ニーズを満たせるでしょう。

厳しい住宅業界を生き残るためのおすすめ施策

住宅業界は今後厳しさを増す可能性が高いとみられています。そのような住宅業界で生き残りを図るためには、自社体制を見直す必要があります。業務効率化を進め、いかにコストカットするかを検討してください。

オンライン化を進める

まずはできるだけオンライン化を進めることが大事です。たとえば得意先や顧客と打ち合わせする際、従来の「実際どこかで会って話をする」となると、交通費がかさみます。また移動する時間も無駄になるでしょう。

現在ではオンラインでもコミュニケーションをとれるツールも、さまざまと出てきています。LINEやZoom、Google meetなどを活用すれば、ビデオ通話で打ち合わせも可能です。現場に行く必要がなくなるので、効率的に業務が可能です。遠方にいる方でもその場でコミュニケーションがとれるので、ビジネスチャンスも広げられるでしょう。

また工務店に特化した業務効率化システムもさまざまと出てきています。顧客や原価・工程・発注管理、見積もり作成などすべてひとつのツールで進められれば、作業効率が向上します。

システム導入するためには、それなりに費用がかかるので躊躇している工務店代表者もいるでしょう。しかしIT導入補助金を活用すれば、導入コストの一部を負担してもらえます。資金がそれほど潤沢ではない企業でも、自己負担を抑制したうえでツールも導入できるでしょう。

ネットを使った集客の導入

現在インターネットは、私たちの生活の中でも欠かせないものになりつつあります。何か調べ物をするときにスマホを使う人も多いでしょう。ネットを活用して集客を狙う戦略は、今後欠かせません。ネット集客としておすすめのツールとして、YouTubeに公式チャンネルを開設するのも一手です。またXやInstagramなどのSNSで、情報発信する方法が考えられます。

もしネット集客するのであれば、会社や商品のPRはあまり効果が期待できません。むしろみている人に役立つ情報を発信するのがおすすめです。よい工務店・ハウスメーカーの選び方、見積書のチェックポイント、コスパに優れたおすすめ設備などが考えられます。

またリフォームサービスを展開しているのであれば、リフォームを検討すべき時期などを解説するとみている人には役立ちます。外壁塗装であれば、塗料別塗り替えのタイミングを解説する動画などもおすすめです。このようにみている人によってためになる情報を発信し、自社のサービスについては公式ホームページをみてもらうといった動線を作るとよいでしょう。

オンライン面談の導入

同じくインターネットを使った戦略です。マイホームを建てたい、リフォームしたいと思っているお客さんの中には、わからないことや不安なことがあるでしょう。そのようなお客さんの相談に乗るサービスをすれば、集客につながっていきます。

しかし会場を借りて相談に乗る形になると、レンタル料などが発生します。オンラインであれば、日本全国どこからでもさまざまなお客さんの相談に乗れるでしょう。コロナ禍のように対面でのサービスが難しい状況でも、オンラインであれば影響を受けません。実際オンライン面談サービスを導入し、見込み客をより手広く獲得している企業も少なくありません。

まとめ

人口減少や中古住宅の購入意欲の増加など、新築住宅への需要について低迷しているのは確かです。さらに建設業界の従業員の高齢化や時間外労働の上限設定などで、人手不足によりビジネスチャンスをみすみす逃す局面も出てくるかもしれません。このような事情から、住宅業界は今後厳しいといわれています。

全体的にみて、厳しい状況であることは否めません。しかし細かくみてみるとリフォームや省エネ住宅など、今後成長するポテンシャルを秘めた領域があるのも事実です。新築住宅建設にこだわるのではなく、今後成長の見込める分野に早い段階から進出することも検討してみるとよいでしょう。デジタル化を進めることで、業務効率性を向上させることも重要なポイントです。効率を高めることで、人手不足の問題を穴埋めできる可能性は十分あります。

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