カメラアプリ「SNOW」を開発した韓国のSnow社の提供するスマホアプリ、「ZEPETO」をご存じでしょうか。「よく知らない」という方でもSNSのアイコンや投稿など、どこかでZEPETOのアバターを目にしたことがあるはずです。
本記事では、Z世代の女性たちから高い支持を得ているZEPETOの魅力や遊び方、問題点などの基本情報をまとめました。
ZEPETOとは
ZEPETOとは、自分だけのアバターを作成し、好きなファッションにコーディネートすることができるスマホアプリです。アプリをインストールし、自分の写真からそっくりなアバターを作成することも可能です。
作成したアバターを使用して写真や動画を撮影・投稿したり、「メタバース」と呼ばれるオンライン上の仮想空間で世界中の人とコミュニケーションをとったりと、さまざまな遊び方が楽しめます。
ZEPETOは近年爆発的な人気を得ており、中国を中心に日本、韓国、アメリカなど世界中で利用されています。ユーザーは約3億人といわれており、そのうちの70%は13~24歳、つまり「Z世代」の女性で構成されています。
アバターが着用するアイテムは350以上もリリースされており、「GUCCI」や「NIKE」といった大手ファッションブランドとのコラボも行っています。ファッション感度の高いZ世代の女性たちには魅力的なスマホアプリだといえるでしょう。
自分だけのオシャレなアバターを作成し3Dの仮想空間を楽しむ、いわゆるオシャレ系「メタバース」として、その存在は無視できないものとなっています。
ZEPETOの魅力
では、なぜこのような爆発的な人気をZEPETOは得ることができているのでしょうか。アイテムの多さや遊び方の多様性はもちろんですが、自分にそっくりなアバターを作ることで「代理欲求」を満たせるという点が人気の理由の1つです。
ZEPETOは『もう一人のかわいい自分、 もう一つの新しい世界』をコンセプトに据えています。リアルでは実現できない髪型や服装に挑戦するなど、なりたい理想の自分をオンライン上のメタバース空間で叶えることができるのです。昨今の「インスタ疲れ」も相まって、自分の代理であるアバターをオシャレに「盛る」ことがZ世代の新しい需要に応えているのではないでしょうか。
ZEPETOの遊び方
ZEPETOは、アバターを使用して多様な遊び方を楽しむことができます。ここでは、代表的な遊び方を3つ紹介します。
自分だけのアバターを作る
ZEPETOでは自撮りなどの写真を使用して、自分にそっくりなアバターを自動で作成することができます。作成後には髪型や顔のパーツを変更したり、全体のバランスを微調整したりと、自分好みにさらにカスタマイズすることも可能です。
一から自分だけのアバターを作るカスタマイズモードでは、体型、髪型、顔のパーツを選択して、自分好みのアバターを作成することができます。服やアクセサリーといったアイテムからアイシャドウやアイラインといったメイクまで、多数の種類の中から組み合わせる楽しさがあります。このアバター作成の楽しさは、Z世代の女性を惹きつける魅力の1つだといえるでしょう。
写真、動画を撮影する
ZEPETOには「フォトブース」という、アバターの写真や動画を撮影する機能があります。ポーズやジェスチャーの変更も可能になっており、生き生きとしたアバターを撮影できます。アバターを実写の画像に合成したり、ZEPETO内の友達と一緒に集合写真を撮影したりすることも可能です。撮影した写真、動画はZEPETO内のSNSである「フィード」やInstagram、TikTokといった一般のSNSにも投稿ができる仕組みになっています。
また、ARモードを使用すると、現実世界にアバターを呼び出すことができます。自撮りをしたくない気分の時は、代わりにアバターを映し出して「映える」写真を撮影します。アバターを使用すれば顔バレを気にせず、より気軽にSNSへの投稿が楽しむことも可能でしょう。
バーチャル空間で世界中の人と交流する
ZEPETOはアプリ内に「ワールド」と呼ばれる、アバター同士の交流が図れる仮想空間が用意されています。企業とのコラボで提供されるワールドやクリエイターの作成したワールド、パーティールームなど、さまざまな種類があります。ワールドでは他のユーザーと一緒にミニゲームに挑戦したり、テキストや声でやりとりをしたりと、世界中の人とコミュニケーションをとることが可能です。
また、「ストリート」では気になるユーザーを探すことができます。ストリートは街をイメージした空間で、知り合いではないユーザーが行き交っています。気になるアバターをタップすると、そのアバターをフォローしたり、アバターのホームを訪れたりすることが可能です。ZEPETO内での新しいつながりを作るためには、最適な空間であるといえるでしょう。
大手企業がZEPETOとコラボする理由
ZEPETOでアバターが着用するアイテムには、有料のアイテムも数多く存在しています。それらのアイテムの中には大手企業とのコラボアイテムが積極的に取り入れられています。
「GUCCI」や「Dior」、「adidas」といったファッションブランドや「スターバックス」や「Galaxy」といったZ世代と相性のよい企業が、ZEPETOの勢いに注目し、提携を行っています。
大手企業にとってのZEPETOの魅力は、Z世代のユーザーを多く抱えているという点です。SNSでの発信力など、流行の最先端を行くZ世代へのアプローチ方法は、大手企業にとっても課題の1つでした。ZEPETOは大手企業とZ世代の接点を作り、企業のブランディングを行う場を提供しているのです。
また、「アバターの着用アイテム」として低価格で気軽にブランドのファッションを体験できることで、Z世代の女性たちに企業への理解を深めてもらうことが可能になっています。
ZEPETOの問題点
ZEPETOの世界中の人と気軽に交流できる機能は楽しい反面、個人情報の流出などの問題点も孕んでいます。
DM機能を利用した嫌がらせ
DM機能を利用して、攻撃的なメッセージや怪しいリンクが送られてくる場合があります。少しでも怪しいと感じたユーザーはすぐにブロックや通報をして、危険を回避しましょう。ZEPETO内でのつながりのみであれば、実生活にまで悪影響を及ぼす心配はありません。
個人情報の流出
ZEPETOに限らず、SNSを使用する際には個人情報の取り扱いに注意が必要でしょう。「SNSのIDぐらいなら」と、軽い気持ちで伝えてしまうとストーカーなどの危険な目に遭う可能性があります。
実際の顔が見えないオンラインの仮想空間上では、たとえ相手が性別や年齢を偽っていても気づくことができません。簡単に個人情報を伝えてしまうと、トラブルの原因になることもあります。
小学生に被害が及ぶことも
日本では小学生の女の子からも人気を得ているZEPETOですが、過去には彼女たちを狙った犯罪も起きています。ZEPETOで遊ぶ小学生の保護者には、子どもの使用するスマホにフィルタリングをかけるなどの対応が求められるでしょう。ZEPETOのWebサイトでも保護者用の対応説明が掲載されています。
まとめ
ZEPETOには一般の人でもクリエイターとして登録することができる機能があります。審査を通過すれば、自分自身でデザインしたアイテムをZEPETO内でほかのユーザーに販売したり、ブランドを立ち上げたりすることができます。近年ではZEPETO独自のトレンドが作られ、新たなファッションやデザインを生み出す場としても機能しているのです。
本記事ではZ世代の女性が多数利用しているZEPETOには、人気を得るだけの魅力や機能があることを解説してきました。アバターの作成技術や他サービスとの提携など、これからどんどん進化していくZEPETOにぜひ注目してみてください。