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【経営者ならこれだけはおさえておきたい】最低賃金法違反に注意!賃金に関するアレコレをわかりやすく解説!

求人サイトなどで仕事を探す場合、仕事内容とともに時給や日給、月給額が選ぶ目安となります。しかし、中には最低賃金を下回っている求人案件もあります。また、最低賃金を下回っているとは知らず、雇用契約を結んでしまったというケースもあるでしょう。

最低賃金違反に注意するためにも、企業や労働者が最低賃金や最低賃金制度についての知識を持つことが大切です。

最低賃金とは?

最低賃金は、労働者に支払われるべき最低限の賃金です。労働者が基本的な生活費を賄うために、最低限必要な収入を保証するために設定されます。最低賃金には、それぞれの都道府県が制定する地域別最低賃金と、特定産業の労働者へ向けた特定最低賃金があります。地域別最低賃金と特定最低賃金のどちらも適用される場合は、企業は高い方の最低賃金を上回る賃金の支払いをするのが義務です。

最低賃金の基本

最低賃金に含まれるのは、基本的な労働時間や日数に対応する賃金です。支払われる賃金から、手当や特別支給など臨時で支払われる賃金を除いたものになります。

最低賃金から除外される賃金

最低賃金に含まれないものは、賞与など1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金や時間外割増賃金、休日割増賃金、深夜割増賃金です。また、精勤・皆勤手当や通勤手当、家族手当も含まれません。

最低賃金の決定は10月

最低賃金は、厚生労働省によって通常7月に改定の目安が発表され、10月1日から改定された最低賃金の施行となります。中央最低賃金審議会が審議した最低賃金改定額を目安に、それぞれの地方の最低賃金審議会が審議を行い、都道府県労働局長が最低賃金を決定する流れです。

都道府県によって最低賃金が異なるため、複数の都道府県にまたがり求人を募集する企業は、それぞれの地域の最低賃金を上回っているか確認する必要があります。

地域別最低賃金とは?

地域別最低賃金は、各都道府県の事業場で働く労働者と雇い主に適用される最低賃金です。アルバイトやパート、正社員など働き方に関係なく適用され、産業や職種も問いません。労働者が健康で文化的な生活を送るための賃金水準を保証するために設定され、それぞれの地域の生活費や事業の賃金支払い能力に応じて算出されます。

地域別最低賃金の勘案のポイント

地域別最低賃金は、労働者の生計費と労働者の賃金、通常の事業の賃金支払能力です。労働者が健康で文化的な生活を送るための基準として、住居や食事、交通費、教育などの生活必需品のコストを評価します。

これは、最低賃金が労働者とその家族の基本的な生活費を賄うのに十分であるかどうかを判断するためです。そして、労働者に対して公正で適切な賃金を提供し、労働者の生活水準の向上を目標に最低賃金が決められます。また、業種や地域の経済状況、企業の規模などが考慮され、雇い主の事業の継続に影響を及ぼさないように最低賃金が設定されます。

地域別最低賃金の計算方法

地域別最低賃金は、時間給で設定されるのが一般的です。そのため、働き方によって計算方法が異なります。時間給で働いている場合は、時間給が地域別最低賃金で定められている時間給を上回るかどうかで判断が可能です。

日給で働いている場合は、「日給÷1日の所定労働時間」という計算式で時間給を割り出し、もしくは日給額が地域別最低賃金を上回るかどうかで判断できます。月給の場合は、「月給÷1ヶ月平均所定労働時間」という計算式で時間給を割り出し、時間給が地域別最低賃金で定められている時間給を上回るかどうかで判断できるでしょう。

地域別最低賃金が高いのは大都市

最低賃金が高い都道府県は、東京や神奈川、大阪などの大都市です。大都市では住宅や食料品、交通などの生活費が一般的に高く、生活を維持するためには高い収入が必要になります。また、労働者と企業がマッチングしやすく、生産性も高まるため最低賃金が高いと考えられています。

地域別最低賃金が低いのは人口密度が低い地域

最低賃金が低い都道府県は、九州や東北です。同じ都道府県内であっても、人口密度が低いほど最低賃金と同等の賃金で雇い入れる店舗が多く、人口密度が高くなるほど最低賃金より高い金額で雇い入れる店舗の多い傾向があります。

人口密度が低い地域では、一般的に労働市場の需給バランスが低いため、雇用機会が比較的限られてしまいます。労働市場の需要が供給を上回らない限り、賃金の上昇圧力が低くなってしまうのです。

事業場内最低賃金計算方法とは?

事業場内最低賃金計算は基本的に地域別最低賃金と同じ計算式で、時給換算の賃金を算出します。

事業場内最低賃金の概要

事業場内最低賃金は、特定地域内における特定産業の労働者の最低賃金を指します。最低賃金審議会によって、地域別最低賃金よりも高い最低賃金を定める必要があると認められた産業に設定されている最低賃金です。政府は事業場内最低賃金の引き上げを推奨しており、事業場内最低賃金が1,000円未満の中小企業・小規模事業者は、助成金が受けられます。

日給の場合の事業場内最低賃金計算方法

日給制の場合は、事業場内で最も賃金が低い従業員の日給を元に算出します。「1週間の所定労働時間÷1週間の所定労働日数」という計算式で1日の所定労働時間を算出し、「日給÷1日の所定労働時間」という計算式で時給計算の事業場内最低賃金を割り出すという方法です。

月給の場合の事業場内最低賃金計算方法

月給制の場合は、事業場内で最も賃金が低い従業員の月給を元に算出します。「年間の所定労働時間÷12」という計算式で1ヶ月の平均所定労働時間を算出し、「月給÷1ヶ月の平均所定労働時間」という計算式で時給計算の事業場内最低賃金を割り出すという方法です。

なお、月給は基本給と毎月加算される手当が含まれ、不規則で付与される賞与は除外した金額を元に計算します。

歩合給が含まれる場合の事業場内最低賃金計算方法

歩合給の場合は、事業場内で最も歩合給が低い従業員の賃金を元に算出します。「歩合給÷実際の総労働時間」という計算式で、時給計算の事業場内最低賃金を割り出すという方法です。基本的に賞与や時間外労働、休日労働手当などは歩合給から除かれますが、計算対象である場合は時間外労働や休日労働時間の賃金も含まれます。

最低賃金法違反に注意

労働者の生活を保護するために最低賃金法が制定されているものの、実際には守られていないケースも存在します。労働者自身が最低賃金未満で働いていることを知らずにいる場合もあるため、最低賃金が守られているか確認し、守られていない場合は適切な対応をすることが大事です。

最低賃金制度とは?

最低賃金制度は、労働者が雇い主から適切な賃金を受けるための法的枠組みであり、労働者を不当に低い賃金で雇用することを防ぐことが目的です。国によって規定された最低賃金額を必要最低限支払うことが義務付けられており、これに違反する場合、法的な制裁が課せられます。正規の従業員だけでなく、パートタイムやアルバイトなど、あらゆる労働者に適用される制度です。また、最低賃金制度は賃金の不平等を縮小し、社会的な公正を促進するとともに、労働市場の安定性を維持する役割も果たしています。

雇い主には支払い義務がある

最低賃金に関する理解が不十分で、雇い主と従業員が最低賃金未満で雇用契約を締結した場合、その賃金は無効です。労働者は最低賃金制度により法的に守られており、雇い主は最低賃金を遵守しなければなりません。雇い主は最低賃金との差額を支払う責任があり、支払わない場合は罰則が科されます。そのため、雇い主は速やかに差額を支払うのが最善策です。

雇い主に科される罰則

最低賃金法における違反に対する罰則は、違反の種類によって異なります。地域別最低賃金の不遵守により差額が支払われない場合、最高で50万円以下の罰金です。一方、事業場内最低賃金に関する違反は、最低賃金法ではなく労働基準法に基づいて処罰されます。賃金全額の支払い義務に違反したとして、30万円以下の罰金です。さらに、雇い主は最低賃金の金額や実施日などを、従業員に職場で明示して周知する責任を負います。

合法かどうかの判断基準

最低賃金に違反していないかを確認する方法は、賃金の支払い方法によって異なります。時給で支払われる場合、時給額が最低賃金額を満たしている場合は合法です。月給で支払われる場合、月給を時間単位に換算し、最低賃金額を上回っている場合は合法です。出来高制で支払われる場合、出来高支払いの金額を時間単位に換算し、最低賃金額以上であれば合法と見なされます。

最低賃金法が除外されるケース

労働者の権利保護には、最低賃金法の遵守が重要です。しかし、特定の状況においては、最低賃金の適用から除外されるケースもあります。最低賃金の適用が適切でない場合、都道府県知事の許可を得ることによって除外され、厚生労働省が定めた割合で賃金が減額されて支払われます。この除外が行われる理由は一般の労働者に適用される最低賃金では、雇用機会の減少する可能性があるからです。

試用期間中

試用期間中の労働者も、最低賃金法の対象外です。試用期間は、労働者の適性や能力を確認するための期間であり、通常、その後に正式雇用が予定されています。試用期間中は、主にトレーニングが中心であり、これが最低賃金法の適用から除外される理由です。ただし、試用期間があることを労働契約で明示的に規定されている場合に限り、適用除外が許可されます。

職業訓練中

職業訓練を受けている労働者も、最低賃金法の対象外となります。これは、職業訓練中は労働力としての十分な生産性を発揮できないためです。ただし、職業訓練中であっても、所定労働時間の3分の2以上を生産活動に費やしている場合、最低賃金法の適用除外は適用されません。

労働能力が著しく低い

精神や身体の障害により労働能力が著しく低い労働者は、最低賃金法の適用対象から除外されます。ただし、労働者が単に不器用である場合は、除外の対象とはなりません。この除外は、障害が業務の遂行に直接的な支障を引き起こす場合に限定されます。

また、障害のある労働者に最低賃金を適用しないことで、雇用の機会を広げられます。企業は、最低賃金を支払うことが難しい状況でも、障害のある労働者を雇用する動機づけとなり、雇用機会の拡大に寄与するでしょう。

軽易な業務

軽易な業務に従事する場合も、最低賃金法の適用外となります。最低賃金法の規定から除外される業務は、単に軽易な作業であるだけでなく、その業務が最も基本的で簡単な業務と比較してさらに簡単である場合に限られます。

作業時間が短い

断続的な労働を行う場合も、最低賃金法の適用外とされます。実際の作業時間が短く、待機時間が多いなど、作業時間が限られた労働者は、最低賃金法の適用から除外されます。

所定労働時間が短い

所定労働時間が短い場合でも、最低賃金法の適用外となることがあります。この適用外は、賃金が日、週、月単位で設定されている場合のみです。逆に、時間単位で賃金が設定されている場合は、所定労働時間の長さにかかわらず最低賃金法が適用されます。所定労働時間が短いとみなされる一般的な基準は、通常労働者の所定労働時間の3分の2以下です。

雇い主が最低賃金制度に違反していたら?

雇い主が最低賃金制度に違反している場合、差額が支払われなければなりません。差額を支払ってもらえない場合は、適切な対処をする必要があります。

労働組合に相談

労働組合がある場合、組合の代表者に問題を報告し、アドバイスが受けられます。組合は労働者の権利を保護するために、サポートを提供してくれるでしょう。

労働基準監督署に申告

労働組合がない場合は、個別で解決しなければなりません。もっとも一般的な方法は、労働基準監督署に対する申告です。申告すると、労働基準監督署が雇い主に是正勧告を行います。行政指導の時点で最低賃金との差額が支払われると、企業への罰則は適用されません。

ただし、行政指導に従わず差額が支払われない場合は、罰則が科されるほか、書類送検されるケースもあります。また、労働基準監督署は守秘義務があり、証拠資料などを提出しても雇い主に知られる心配はありません。労働基準監督署は、企業に対して強い力を持っています。

最低賃金を引き上げるために企業が行うべきこと

最低賃金の引き上げは政府も推奨しており、賃金が上がることは人材を確保するうえでも大切です。しかし、賃金を引き上げることで事業の継続が難しくなっては意味がありません。最低賃金を上げるために、企業は適切な対応を行う必要があります。

業務改善助成金を活用

最低賃金を引き上げるために業務改善助成金を活用することは、労働者の生活水準向上や労働条件改善の観点から重要な取り組みです。業務改善助成金を活用して、生産性向上に寄与するプロジェクトや設備が導入できます。労働力を効果的に活用し、給与の引き上げに対する財政的余裕を確保することが可能です。

また、業務改善助成金を利用して、トレーニングプログラムや教育プロジェクトを実施できます。スキルが向上すれば生産性が向上し、賃金引き上げの余地が生まれるでしょう。

退職一時金を年金にする

退職一時金を年金化すると、企業の負担が軽減できます。年金化すると、年金の掛金を損金算入できるからです。また、企業の純利益から税金や配当金、賞与などを引いた内部留保型の預金であるため、負債計上しても損金算入できません。

生活残業を抑制

企業が最低賃金を引き上げるにあたって、生活残業を抑制することがアプローチとして有効です。生活残業とは、基本給の低い労働者が不必要な残業を行うことです。最低賃金を引き上げるためには、生活残業を抑制するなどの業務改善が必要になります。

プロジェクト管理の導入や人事評価制度などを見直すとともに、賃金が上がると労働者が賃金を得るために残業に頼る必要が減少することを周知させることも大切でしょう。

10月の最低賃金発行前に実行する

通常、企業が最低賃金の引き上げを行うのは、10月に最低賃金が施行されるタイミングです。そのため、10月になると多くの企業が時給の引き上げを行うため、採用市場が激化して優秀な人材を確保するのが難しくなります。

競合企業が賃金を引き上げる前に賃金の引き上げを実行すると、早めに良い人材を確保できます。のちの採用に余裕ができ、企業にとってプラスとなるでしょう。

まとめ

最低賃金は地域別最低賃金と事業内最低賃金があり、地域や事業所によって適用される最低賃金が異なります。雇い主と労働者の双方が、最低賃金に対する正しい知識を持ち、適切に適用されているかチェックすることが大切です。最低賃金を下回る金額であった場合、雇い主は差額を支払わなければなりません。ただし、最低賃金が適用されないケースもあるため、細かいルールも確認して最低賃金法に違反しているか判断する必要があります。

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