今や集客方法として、インターネットは欠かすことのできないツールになっています。そしてより効率的に集客効果を上げる方法として、SEOやMEOは広く浸透した感があります。Webにおける集客方法はいろいろと出ては消えていきますが、近年注目を集めている手法が今回紹介するサイテーションです。
サイテーションがなぜ注目を集めているのか、その重要性について見ていきます。サイテーションとMEOの関係性や獲得方法についても紹介しますので、今後の施策の参考にしてください。
サイテーションとは何か？
サイテーションとは英単語の「Citation」のことです。日本語に単純に訳すと「言及」や「引用」などといった意味合いがあります。自社やブランド名、住所などの特定の情報やその関連情報がネット上に記載されている状態を表した言葉です。自社やそのビジネスがテキスト情報として言及されている状態を指します。
被リンクとの違い
サイテーションに関して、被リンクと同じようなものと認識している人も多いようです。しかしこれは誤りです。被リンクとは外部サイトに自分のサイトのURLが貼られることを指します。一方サイテーションはリンクの有無は関係ありません。自社やそのブランド、店舗情報などテキストが記載されているコンテンツのことです。
元々別個のものなので、検索エンジンにおける評価もまったく異なります。たとえば大手のGoogleは被リンクをランキング検討時のファクターの一つになります。しかし自演で被リンクした場合、逆にペナルティ対象になりかねません。あくまでもナチュラルな形で被リンクを増やさないと、検索結果の上位に持っていけません。
一方サイテーションの場合、MEOに大きく影響すると見られています。MEOについて簡単に紹介すると、Googleのマップ検索やローカル検索の上位表示対策のことです。Googleによると、ローカル検索は「関連性や距離、知名度をはじめとした結果を踏まえて検索結果を出す」としています。この中でもサイテーションと大きく関わってくるのが知名度です。
より多くのサイテーションを獲得できれば、その企業や事業について広く知られていることになります。知名度の部分で高く評価されるので、マップ検索やローカル検索結果の上位に表示される可能性が高まるわけです。
被リンクの優先性は低下しつつある
Googleでは2017年にアップデートを行いました。その結果、これまでは被リンクがSEOの中で最も重要な施策の一つとされてきました。ところが2017年以降、コンテンツの質や信頼性、権威性の方が重視されるようになったのです。このため、むやみやたらに被リンクを貼っても評価されず、むしろ自演の場合ペナルティの対象になりかねません。
SEOやMEOでどれだけそのサイトに関する言及があるのか、が徐々に重視されるようになりました。どれだけの人が知っているかが検索順位に影響を及ぼすようになり、それに伴いサイテーションが重視されるようになったわけです。
SNSの普及も影響
サイテーションが重視されるようになった背景として、SNSの普及も重要な要因になっています。「バズる」という言葉に代表されるように、SNSきっかけで人気に火が付くことも珍しくありません。SNSでいろいろな人が情報発信を行っています。
しかしSNSでは、nofollow処理がなされています。よってたとえリンクを貼り付けても、被リンクの評価は受けられません。従来の被リンク重視では、いくらSNSでバズっても検索エンジンではまったくの無意味になってしまいます。これでは、正確な評価を行うのは難しくなります。そこで被リンクなしでも多く言及されているなら、きちんと評価してあげようという流れになったわけです。
サイテーションとMEOの関係
Googleではローカル検索結果を判断するにあたって、視認性の高さを重視しているといいます。たとえば著名な博物館やホテル、名所などはオフラインにおける知名度は高いといわれています。Googleのローカル検索ではこのようなオフラインの知名度も重視されるので、検索結果の上位に出現するわけです。
MEOはSEOよりも近年では重視されるようになっています。MEOは特定の地域の検索結果なので、上位表示されれば、ユーザーは実際にそのビジネスやサービスを利用する可能性が高いからです。MEOの重要なファクターの知名度に関連するサイテーションは、MEO施策として注目されるようになっているわけです。
サイテーションを獲得するための5つの方法を解説
MEOやSEOにおいてサイテーションは重要な施策になることはおわかりいただけたでしょうか？ではサイテーションを獲得するにはどうすればいいのでしょうか？主な獲得方法として、5つの施策が挙げられます。以下で解説しますので、今後の対策の参考にしてください。
Googleビジネスプロフィールに登録する
MEOのためには、まずGoogleビジネスプロフィールに登録してください。ビジネスプロフィールとはビジネス情報の発信ツールです。ビジネスプロフィールを登録することで、指名検索のときに初めて検索結果が表示されます。無料で登録できるので、ビジネスしているのであれば、Googleビジネスプロフィールに登録すべきです。
ビジネスプロフィールに登録する際には、できるだけ多くの情報を登録するのがおすすめです。その方がユーザーにサービスや商品など、自社の事業内容について理解してもらえます。また一回登録したらおしまいではなく、追加情報があれば、定期的に更新してブラッシュアップしましょう。
SNSを活用する
SNSをどんどん活用するのは、サイテーションを獲得する手法の中で最も有効な施策です。サイテーションを獲得するためには、SNSユーザーに自社の存在を認知してもらわないといけません。ならば自分たちからSNSを使ってどんどん情報発信しなければならないわけです。SNSで情報発信する際には、社名やサービス名、商品名などをどんどん掲載していきましょう。そうしてSNSユーザーに認知してもらわなければなりません。
SNSによるサイテーション獲得は、短期でも長期的な戦略でも有効といわれています。SNSによる情報発信してしばらく経過してから、情報が拡散される可能性もあるからです。少しSNSをしてなかなか思うような成果が上がらなかったとしても、あきらめないことが重要です。
名前はインパクトのあるものに
サイテーションを獲得するには、サイト名やサービス名、商品名をどうするかも重要な施策になります。見た人が覚えやすいインパクトのある、簡潔な名前を考えましょう。また命名したら、ライバル企業と同一はもちろん、似たような名前がないか確認してください。もし他社に近い名前があれば、他社の商品名と勘違いされる恐れが出てきます。
また英語や難読漢字で命名すると、ユーザーがなんて書いてあるのかよくわからないかもしれません。英語や難読漢字の命名でも構いませんが、ひらがなをふってユーザーに認知してもらいやすくしましょう。読み方を間違われずに済みますし、お客さんの立場になっていてていねいだと好意的なサイテーションを獲得できるかもしれません。
広告や引用を活用する
MEOの基準の一つに、認知度が重視されると紹介しました。そこでサイテーションを獲得するために、認知度を獲得しておくのも有効な施策の一つです。SEOで集客効果が出るまで待っていると、認知拡大がなかなか進みません。そこで広告をどんどん活用しましょう。
広告といわれるとテレビコマーシャルのようなものをイメージするでしょう。中小企業はそこまで莫大な広告費はかけられません。しかしその他にも広告戦略はあります。検索広告やディスプレイ広告など検索エンジンを使った方法やアフィリエイトを使った広告など、そこまでコストをかけずに宣伝できます。
もし自社商品やサービスがWebメディアに取り上げられれば、より強い情報発信が可能です。Webメディアに対する営業を強化したり、連携したりすることも検討しましょう。
実績を積み重ねる
サイテーションを獲得するには、知名度を高める必要があります。しかし自社の露出を進めるだけで、肝心の品質が良くなければ意味がありません。ネガティブなサイテーションばかりになってしまって、かえって逆効果になるでしょう。そこで自社商品やサービスの品質向上に努めることも忘れないでください。
商品に関する満足度が高まらなければ、ユーザーもわざわざその製品に関する言及をしようとは思わないでしょう。顧客アンケートなどを取って、どこに不満があるかなどデータを収集するといいでしょう。そして問題点を改善して、顧客満足度の向上に努めましょう。アンケートを取って、どこに満足しているかがわかれば、それも今後の広告におけるアピールポイントにもなります。実績を積み重ね、ユーザーからの信頼が集まれば、おのずとサイテーションも獲得できるはずです。
サイテーションの獲得状況を調べる方法
施策をいろいろと試みて、本当にサイテーションが獲得できているか気になるところです。実はサイテーションの獲得状況を自らリサーチする方法はあります。ネットで簡単に調べられるので、定期的にリサーチをかけてみましょう。もし思うような効果が挙げられていないようなら、施策の見直しを速やかに検討してください。
検索演算子を使ってGoogleで検索する
多くのネットユーザーは、Googleで検索しているはずです。そこでGoogleで自社サイトに関する検索をかけて、どのような結果が出ているか確認しましょう。このとき通常の検索方法ではなく、検索演算子を使って検索にかけてください。
Googleには「site検索」という方法があります。検索窓の頭に「-site:」と入力し、そのあとに自社サイトのURLを入力してください。このような検索方法で、入力したドメイン名を除いた中でサイト名を含んだ情報が表示されるわけです。
さらに「”」を加えた検索にかけてみる方法もあります。「”キーワード”」という形で入力すると、キーワード名に完全一致したサイトがピックアップされます。つまり「-site:自社サイトのURL”キーワード”」と検索にかけると、自社サイトを除き、特定のキーワードに完全一致したサイトがわかるわけです。
””の中には、社名や自社サイト、商品名などを入力するといいでしょう。そうすれば、その特定のワードがどの程度言及されているかがわかるからです。
Yahoo!リアルタイム検索をリサーチする
普段インターネットで検索をかけるにあたって、Yahoo!を活用している人も多いでしょう。サイテーションの獲得状況で、Yahoo!の検索サービスを活用するのも一つの方法です。このときおすすめなのが、Yahoo!リアルタイム検索を活用する手法です。
検索窓の上部にいくつかタブがあるでしょう。その中の一つに「リアルタイム」というタグがあるので、こちらをまずはクリックしてください。そのうえでサイト名や商品名など特定のキーワードを入力して検索しましょう。そうすれば、XやFacebookのようなSNSにおけるリアルタイムのサイテーション獲得状況が把握できます。
サイテーション獲得における注意点
サイテーションを獲得することで、MEO対策が可能です。しかしむやみにサイテーションを獲得しても、意味がありません。検索結果の上位に表示できるどころか、かえって逆効果になってしまう恐れもあるので以下のポイントには注意してください。
自作自演は行わない
サイテーションを獲得するために、自作自演を行う企業も中にはあるようです。SNSで企業名やサイト名について、自然な形で発信する分には問題ありません。しかし自社や商品などを高く評価するような口コミを多数投稿するサクラ行為は控えるべきです。
検索エンジンでも、過剰な投稿が見られれば、「自作自演なのでは？」と怪しみます。悪意あるなりすまし的なサイテーション対策が露見すれば、対象の口コミや言及は削除されてしまいます。しかもサイトの評価も下がってしまうなど、むしろデメリットの方が大きくなってしまうのでほどほどにしておきましょう。なりすましの口コミ投稿は、顧客の信頼を失う行為なのでむしろリスクが大きい行為といえます。
ネガティブなサイテーションもある
サイテーションの中には評価するポジティブな内容のものがある一方、ネガティブな内容のものもあります。少し前までは内容のいかんに関係なく、サイテーションがあればとりあえず評価されてきました。しかし近年、サイテーションの内容や前後の文脈まで見て、ポジティブなのかネガティブなのか判断できるレベルに達しています。
もしネガティブなサイテーションの方が多ければ、むしろ検索順位が下がってしまうわけです。ネガティブなコメントを完全に消去するのは難しいでしょう。口コミサイトであれば、商品の改良やクレーム対策を進めることで高評価の投稿が増えて、印象も変わるかもしれません。しかしとくにSNSの場合、一度投稿された情報が削除されることはまずないでしょう。
サイテーションは自分たちにプラスになるものもあれば、むしろ足を引っ張る可能性のあることも十分認識してください。SNS対策では、自分たちから良質なサービスや商品を提供している旨、情報発信していくことが重要です。
NAP情報について
サイテーションとは簡単にまとめると、自社や商品に関する情報をWeb上で多く発信してもらうことです。自社や商品と関連付けるためには、NAP情報をある程度統一する必要があります。NAP情報とは「Name」「Address」「Phone」の頭文字を表したもので、店舗や会社情報の核になるものです。
NAP情報が統一しておかないと、意味が同じでも表記が異なると別物と認識されてしまう恐れがあります。たとえば住所で「○○ビル1階」と「○○ビル1F」は同じ意味ですが、表記が異なるので両者は別物を指しているとクローラーが認識するかもしれません。
ではどの程度NAP情報は統一すべきか、できれば完全一致が理想です。しかし完全一致に過剰にこだわる必要はないでしょう。また表記ゆれを起こりにくくするために、ブランド名や商品名などはシンプルでわかりやすい名称にしておくとサイテーションも獲得しやすくなります。
まとめ
サイテーションはMEOと大きく関係する施策で、近年にわかに注目を集めています。とくにサービス業など、実店舗のある場合、MEO対策は集客と大きく関係してくるので注力しなければなりません。上で紹介したサイテーションの獲得方法を参考にして、できる施策をどんどん進めていってください。
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