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中小企業の法人税対策は?節税の重要性やすぐできる税金対策について解説!

中小企業の事業主にとって悩ましい問題の一つが、税金でしょう。安定的な会社経営を続けるためには、できるだけ無駄なお金の支出は抑えたいところです。実は適切な税金対策をすることで、節税することは十分可能です。ここでは、中小企業の経営者がすぐにできる税金対策について見ていきます。節税は安定的な会社の成長を続けるには大切なことなので、参考にしてください。

法人税と節税の必要性について解説

そもそもなぜ節税する必要があるのか、きちんと理解していないという法人代表者も多いかもしれません。なぜ中小企業は節税した方がいいのか、その重要性についてしっかり理解するところから始めましょう。

そもそも法人税とは?

税金対策の前に、企業が納めるべき法人税について簡単に見ていきます。法人税とは事業活動を通じて獲得した所得に対して課税される税金の一種です。法人税とは国税の一種に分類されます。

売上や不動産の売却によって得られた収入から売上原価や販売費などの損金を差し引いたものが所得です。つまり売上金がすべて法人税の対象になるわけではありません。法人税は各企業や医療法人、協同組合などが課税対象になります。法人税の申告期限は事業年度の終了日の翌日から2か月以内です。事業年度は各企業で定款を作り定めているはずです。

もし期限までに申告・納付しなければ、延滞税が別途で課せられてしまいます。申告と納付期限は一緒なので、早めに申告するように心がけてください。

中小企業の節税の必要性

中小企業は大企業と比較すると、経営基盤がぜい弱です。このため、資金繰りに頭を悩ませている経営者も多いでしょう。よって節税対策として、支払う税額を少なくしてキャッシュをある程度手元に残しておくことは重要です。

また大企業と比較して、税負担が大きくなる場合も少なくありません。たとえば法人税の場合、普通法人だと資本金1億円以下の中小企業の税率は15~23.2%です。一方1億円超の大企業は、一律23.2%の税率で課税されます。こうしてみると、中小企業の税率は大企業以下なので負担は軽いように思えるかもしれません。

しかし実際のところ、大企業には優遇税制が採用される場合も少なくありません。優遇措置を活用すれば、中小企業の方が大企業よりも実質税負担が大きくなってしまう恐れもあります。少しでも税負担を軽くするために、できる節税はしっかり行った方がいいわけです。

中小企業経営者が対応できる節税テクニックを紹介

中小企業は法人税など税金の支払い額を少なくすることで、資金繰りが円滑になります。では具体的にどのような税金対策をすればいいのでしょうか?ここでは代表的かつすぐにできる節税テクニックについて、いくつかピックアップしてみました。今まで節税を意識してこなかった法人代表者は、さっそく導入を検討してください。

役員などの自宅を社宅扱いにする

役員や従業員で、賃貸物件で暮らしている方も多いでしょう。もしそうであれば、社宅扱いにしてしまうのは有効な節税テクニックです。というのも家賃を会社が負担することで、経費扱いできるからです。社宅の家賃を企業が負担すれば、福利厚生の一環となり必要経費として認められます。

家賃を経費にして企業が負担するのは、従業員にとっても実はメリットがあります。たとえば企業が家賃負担して、その分を給料から天引きしたと仮定しましょう。まず企業は先ほども紹介したように家賃負担分は経費として計上できます。また従業員も家賃分の給料が少なくなれば、所得税や住民税なども低くなります。納税額が少なくなれば天引き額も減って、従業員の手取りが増えるのでこれはメリットです。

役員報酬を増やす

法人税の節税対策として広く知られているのが、役員報酬を上げる手法です。役員報酬は損金として計上できるからです。しかも通常の報酬以外にも、ボーナスも含まれます。役員所得を増やす、もしくは役員を追加して役員報酬の総額を増やせば、課税所得は少なくなるわけです。

ただし増額の幅によっては、逆に納税額が増えてしまう恐れもあります。法人税は減らせても、報酬が増えることで役員個人の課税額が増える可能性があるからです。報酬額はいくらが適正か、税理士など専門家に相談するといいでしょう。

役員報酬を変更する場合には、決められた手続きに従って進めてください。株主総会の決議が必要です。また事業年度開始から3か月以内であれば、全額損金として計上できる点も押さえておきましょう。

自家用車を法人名義にする

もしマイカーを持っていて個人名義にしているのであれば、法人名義に変更しておきましょう。そうすれば、自動車の取得費用やランニングコストを損金として計上できるからです。ガソリン代や任意保険料、高速道路を利用した場合には通行料も対象です。

ただし公私混同しないように注意してください。社用車をプライベートも兼用する場合には、利用する際のルールを作成しておきましょう。そしてプライベート利用する際には、利用料を会社に入れるなどの対策を講じておきましょう。

もし社用車を購入するにあたって特別こだわりがなければ、中古車を購入するのがおすすめです。これは減価償却が関係しています。新車の場合、耐用年数は6年間で毎年分割して損金計上しなければなりません。一方中古車は、法定耐用年数は採用されません。事業の用に供したとき以降の使用可能期間で減価償却が可能です。

もし法定耐用年数超えの中古車を購入した場合、法定耐用年数の20%に相当する年数で減価償却して処理します。いずれの場合でも、新車と比較して中古車の方が減価償却費は大きくなります。すなわちより大きな節税効果が見込めるわけです。

減価償却費は一括で処理する

社用車の減価償却費について紹介しました。車両以外にも、減価償却費の対象になりそうなものが会社にあるでしょう。具体的には建物やパソコンなどの機械、ソフトウェアなどです。通常減価償却は、耐用年数をベースに何年かに分けて経費として計上します。

しかし青色申告にしている中小企業の場合、全額をその年度の損金として計上できる特例があります。まとめて損金として計上できれば、より大きな節税効果が見込めるわけです。ただしこの特例は、2024年3月31日までが対象となります。また取得価額が30万円未満の減価償却資産が対象です。なおかつ特例の適用を受ける事業年度の減価償却資産の取得費用はトータルで300万円までとなるので、注意してください。

飲食費や交際費を経費に計上する

取引先に対して、いろいろと接待している企業も多いでしょう。このときの飲食費や交際費は、経費として計上が可能です。頻繁に接待している場合、かなりの金額を経費として計上できるかもしれません。ただし交際費には限度額が決められていますし、その内容によっては経費として認められない場合もあります。税理士などに経費として計上できるか、相談しておくと安心です。

消耗品を購入する

「決算直前で細かな節税ができない…」という場合におすすめなのが、消耗品を購入しておく方法です。文房具やティッシュペーパーなど企業で利用する消耗品は、経費として計上できます。少しでも節税したいというときにおすすめです。ただし経費になるからといって、あまりに短期間で大量に消耗品を購入すると税務調査が入ってしまうかもしれません。常識の範囲内で、消耗品を買いだめしておきましょう。

法人保険に加入する

保険会社から販売されている商品を見てみると、法人向けの保険がいろいろと出ています。こちらに加入すれば、保険料の一部もしくは全額を経費として計上できます。保険はいざというときのための補償なので、税金対策だけでなくリスクマネジメントにもなるのでおすすめです。

ただしすべての保険が経費として計上できないので、どの保険に加入するかは慎重に検討してください。また保険料の負担が会社の資金繰りを圧迫しては、元も子もありません。さらに、解約する際にタイミングによっては、逆に存する可能性もあるのでいつまで加入するかあらかじめシミュレーションしておきましょう。

保険と関連して、法人向けの共済があるのでこちらに加入するのも税金対策になります。主なものとして、中小企業退職金共済や小規模企業共済、経営セーフティ共済などが該当します。こちらの掛け金は全額損金として計上できるので、加入を検討してください。

とくに経営セーフティ共済への加入はおすすめです。もし取引先が倒産などして売掛金が回収できなかったときに、事業資金を借入できる制度です。売掛債権が不良債権化すると、途端に資金繰りが悪化してしまう中小企業も少なくありません。万が一のために加入しておけば、安心でしょう。

決算期をずらしてみる

業種によっては、閑散期と繁忙期がはっきり分かれている場合もあるでしょう。この場合、決算期をどこに持ってくるかによって課税額は大きく変わってきます。もし決算期の直前に大きなビジネスがあってまとまった売上が発生したら、そのままにしていると当期の法人税額が大きくなってしまうかもしれません。

その場合、決算期をずらしてしまうことで税金対策できます。つまり大きな売上の発生した月の前に決算期を持ってくるわけです。そうすれば、急増した利益に対する納税は翌期に回せるからです。

ただし決算期を動かすには、税務署に前もって決算期変更手続きを済ませないといけません。さらに株主総会に決算期変更の同意を得る必要があるので、手続きに瑕疵のないように注意してください。

在庫の処分を進める

もし売れ残った在庫を抱えているのであれば、こちらを処分することで節税が可能です。処分の方法はいくつか考えられます。たとえば原価割れの値段でたたき売る方法があります。この場合、原価との差額を売却損として計上可能です。もし古くて売れない場合には廃棄処分するのも、選択肢の一つです。この場合、廃棄損として原価全額を損金計上できます。評価損として計上する方法も考えられます。評価額が原価よりも低かった場合、原価との差額を損金計上可能です。

ただしいずれの方法で在庫を処分しても、損金算入するためには一定の基準があります。要件を確認して、ルールにのっとった在庫処分を心がけてください。

未払費用の計上

今期内に費用自体は発生しているけれども、実際の支出は来期になるものもあるでしょう。これは「未払費用」という形で今期計上することが可能です。こちらも損金扱いになるので、法人税額を下げるのに役立ちます。

具体的に何を未払費用として計上すればいいか、これはケースバイケースです。しかし代表的なものとして、従業員に支払う給料やボーナスが挙げられます。今期内が締日だけれども、実際の支払いが来季の場合、今期内での計上が可能です。またなんらかの不動産を保有している場合、固定資産税を未払費用として計上できます。固定資産税は市区町村から課税通知があった段階で、未払費用として計上できるからです。

福利厚生を充実させる

福利厚生の内容を充実させることで、節税対策が可能です。福利厚生にかかった費用は経費として計上できるからです。具体的な方法として、社員旅行を実施したり健康診断を義務にしたりするアプローチが考えられます。ただしそれぞれ、経費として計上するためにはいくつか条件があるので注意してください。

まず社員旅行は、会社負担金額が10万円以内でなければなりません。また参加する従業員が全体の半分以上、期間が4泊5日以内などの条件が付きます。

健康診断の場合だと、対象が従業員全員であること、費用は法人が医療機関に直接支払うなどの条件があるので注意してください。

就活している人が応募する企業の条件として、福利厚生の内容を重視する人も少なくありません。福利厚生を手厚くすることで、就活している人に対するPRになるかもしれません。節税だけでなく、人材確保の意味でもメリットがあります。

資産の整理を進める

不動産を保有していて、使っていないものがある、今後も使用する予定がなければ処分してしまうのも一つの方法です。不要な不動産を処分した場合、除却損として経費計上が可能です。もし取得額が高い物件を処分すれば、大きな節税効果が期待できます。

また不動産を使っていなくても所有していれば、固定資産税が毎年発生してしまいます。使用するつもりのない不動産を早期に処分すれば、以降の固定資産税の税負担から免れられるのでその意味でも節税対策になるでしょう。

除却損を計上するためには、その年度内に処分したことを証明する書類の提出が必要です。廃棄した資産の一覧や物件の写真、処分をお願いした業者の請求書などを準備しましょう。

中小企業が税金対策するにあたっての注意点

節税にこだわるあまりに逆に会社の経営が厳しくなったり、税務署ににらまれたりするなら本末転倒です。そこで税金対策するにあたって、どのような点に注意すべきかまとめましたので参考にしてください。

無駄遣いはしない

事業のための支出であれば、基本経費として計上できるので税額を圧縮できます。しかし節税したいがために、無駄に設備投資するなどは控えましょう。設備投資を増大しても思うような売上が上がらなければ、キャッシュフローが悪化してしまいます。

企業を成長させるためには、設備投資などがたしかに必要です。しかし節税以外に本当にメリットがあるのか、設備投資してそのコストを回収できるだけの見込みがあるか、慎重に検討してください。

脱税は厳禁

節税を追求しすぎると、脱税に該当してしまう恐れがあります。節税とは、あくまでも法律で許される範囲内にて課税額を少なくする手法です。脱税は、違法行為で税金の支払い額を少なくする方法で発覚すれば当然ペナルティの対象になります。脱税しようとしていなくても結果的に違法行為をしてしまった場合でも、罰則の対象です。

また節税とも脱税とも言い難い、グレーゾーンの節税対策もあります。グレーゾーンの手法は、のちに税務調査が入って指摘される可能性もあります。ですから節税として認められる範囲内で、無駄な税金の支払いをカットしてください。自分たちで大丈夫かどうか判断するのは難しいでしょうから、税理士など専門家に相談して適切な助言を仰ぎましょう。

まとめ

中小企業は大企業と比較すると、経営基盤がぜい弱なので資金繰りに頭を悩ませている法人代表者も多いでしょう。もし税金の支払いに四苦八苦しているのであれば、節税できないか検討してみましょう。ここで紹介した税金対策は、どのような企業の代表でも比較的すぐに手を付けられる手法のはずです。ただし自己判断でいろいろと進めてしまうと、中には脱税の範疇になる行為もあるかもしれません。税理士など専門家に相談しながら、最適な方法で節税を進めていってください。

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