SEOについて学んでいる方であれば、一度は「E-A-T」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。E-A-TとはGoogleが設けたウェブサイトの品質を測る基準であり、SEO対策においては欠かせない要素だといえます。
そこで今回は、E-A-Tの定義やその重要性、E-A-TとYMYLの違いなど、E-A-Tに関する基礎知識を紹介していきます。
E-A-Tとは
E-A-Tとは多くの人が使用する検索エンジン、「Google」がウェブサイトを評価するために用いる基準のことを指します。E-A-Tには、特定のスコアやランキング化するためのアルゴリズムが指定されているわけではありません。ウェブサイトを評価する際の指針のようなものだと捉えておきましょう。
E-A-Tはユーザーに適切な検索結果を提示することを目的に設定されています。E-A-Tの評価が高ければ、検索エンジンから高品質なウェブサイトであると判断されて、検索結果にも上位表示されやすくなります。SEO対策を行うにあたって、ぜひ押さえておきたい要素だといえるでしょう。
E-A-Tのそれぞれの定義
E-A-Tとは、専門性(Expertise)・権威性(Authoritativeness)・信頼性(Trustworthiness)の頭文字を取ったものです。以下では、それぞれの定義について詳しく解説していきます。
専門性(Expertise)
「専門性(Expertise)」とは、ウェブサイト全体やそれぞれのコンテンツの内容が専門的知見に基づいているか、ユーザーが価値のある情報を得られるかどうかを評価します。
専門性においては、さまざまなトピックを含むウェブサイトよりも1つのトピックに特化したウェブサイトが高く評価されます。1つのトピックに絞ったサイトはコンテンツ同士の関連があり、コンテンツが増えると内部リンクの構築もしやすくなるでしょう。結果として、ウェブサイトの専門性を示すことができるのです。
たとえば、靴を買う場合にはショッピングモールなどの総合的なデパートのサイトよりも靴専門店のサイトの方が専門性は高いと判断されます。さらに、子ども用の靴専門やレディース靴専門、革靴専門といった特定のジャンルに特化したサイトであれば、よりユーザーのニーズに合った情報を提供することができるでしょう。
このように、1つのトピックに特化してウェブサイトを作ることで、専門性に対する評価を高めることにつながります。
権威性(Authoritativeness)
「権威性(Authoritativeness)」とは、コンテンツの内容ではなく、情報を発信している人物や企業を評価します。つまり、その情報を「誰が言ったのか」が重要となるのです。
多くの他サイトやSNSでコンテンツが紹介されたり、言及されたりすると「権威性が高い」と判断される傾向もあります。発信する人物の経歴や認知度が重要であるため、権威性の評価を簡単に上げることはできません。権威性に対する評価を高めることができれば、SEO対策において有利に働くでしょう。
検索サイトを運営するGoogleなどは、各領域の専門家ではありません。そのため、ユーザーに適切な情報を届けるために、情報を発信している「人物」に注目するのです。たとえば、医療に関する情報であれば、個人の発信したコンテンツよりも医療の専門家である医者(もしくは病院)が発信したコンテンツが上位表示されます。それは個人よりも専門家の発信した情報の方が、専門的知見に富んでおり、ユーザーにとって有益であると判断されたからなのです。
信頼性(Trustworthiness)
「信頼性(Trustworthiness)」とは、ウェブサイトで発信された情報やウェブサイトを管理する運営者がユーザーにとって信頼できるか、安全であるかを評価します。コンテンツの発信者が明確にされており、かつ専門性が高い人物であるほど信頼性が高いと判断されるのです。その他にも、利用規約を明確に記載したり、オリジナル性の高いコンテンツを発信したりといった方法で信頼性の評価を上げることができます。
たとえば、脱毛に関するウェブサイトであれば、実際に脱毛を体験した人のレビューや体験談は信頼性が高い情報です。脱毛サロンの経営者が発信する情報よりも信頼性が高いと評価されることもあるでしょう。また、経営者についても匿名ではなく、本名を明かすことで信頼性を担保することがあります。
E-A-Tが重要である理由
E-A-Tがなぜ重要であるのかをしっかり理解することで、より効果的なSEO対策を行うことができます。E-A-Tが重要視される理由には、検索エンジンの歴史と関係があるのです。
検索エンジンの精度の発展とE-A-T
現在よりも検索エンジンの精度が低かった2000年代では、キーワードの多用やリンクの購入といった不正が頻繁に行われていました。ウェブサイトの良し悪しも正確に判断できなかったため、不正を行った質の低いウェブサイトが上位表示されていたのです。そのため、ユーザーは自分が求める情報にたどり着くことが困難でした。
2010年代後半から、検索エンジンの精度は徐々に上がっていきます。ユーザーの分析やテキスト・画像への理解度などが上がり、ウェブサイトの良し悪しを正確に判断することが可能になりました。Googleが定める評価基準もアップデートされ、より「ユーザーファースト」が重要視されています。不正なウェブサイトではなく、ユーザーに有益なウェブサイトを届けるために、E-A-Tという基準は需要な役割を担っているのです。
Googleがユーザーファーストである理由
Googleはリスティング広告と呼ばれる、検索キーワードで上位表示される広告を収入源としています。検索エンジンの精度が高いほどユーザーの満足度が上がり、満足したユーザーはその後リピーターになります。Googleの検索エンジンを使用するユーザーが増えるほど広告のクリック数が増え、Googleの広告収入も上がっていくという仕組みです。
そのため、Googleにとってユーザーの意向は無視できない存在です。ユーザーからの信頼を得るためにも、E-A-Tが高い、つまりユーザーを満足させられる情報を上位表示する必要があるのです。
E-A-TとYMYLとの違い
E-A-TとYMYLはどちらもSEO対策を行うにあたって、必ず押さえておきたい用語です。以下を参考にSEOとYMYLの違いをしっかり理解しましょう。
YMYLとは
「YMYL」とは「Your Money or Your Life(あなたのお金やあなたの生活)」の頭文字を取ったものであり、Googleが提唱した概念の1つです。YMYLは、コンテンツの情報が誤っていた場合に、個人の健康や経済、安全性に悪影響を及ぼす可能性のある分野のことを意味します。そのため、通常のコンテンツよりも情報の正確性や発信者への信頼性が重視されています。
たとえば、病気についての対処法や適切な薬の情報が誤っていると、その情報を信頼したユーザーの健康状態の悪化や、最悪の場合生死にかかわる問題につながる場合もあるでしょう。そういったリスクを回避するために、YMYLに該当する分野では政府や医療機関などの公式情報が上位表示される仕組みになっているのです。
YMYL分野は上位表示されにくい
YMYLの分野でもE-A-Tを用いてコンテンツを評価しています。ただ、通常のトピックを発信しているコンテンツよりも、より高水準なE-A-Tの評価が求められます。
SEO対策のみで、YMYL分野のコンテンツを上位表示させることは困難です。良いコンテンツを作成したとしても、公式の発信したコンテンツより上位表示される可能性は低いといえるでしょう。
まとめ
SEO対策の基本を守りながら、品質の高いウェブサイトコンテンツを作り続けることができると、ユーザーやGoogleからの信頼を得ることができるでしょう。
ユーザーに有益な情報を届けるためにも、E-A-Tは非常に参考となる基準です。これからコンテンツ作成やSEO対策を始めるという方は、まずE-A-Tを意識したコンテンツの作成を行ってみましょう。